瀬戸内町と宇検村の境にかんつめ節の碑というものがある。 かんつめ節の碑は、かんつめという美人にまつわる悲しい物語を記したものだ。
奄美では役人や豪農の家では「ヤンチュ」と呼ばれる一種の奴隷をかかえていた。カンツ
メもその一人。かんつめは働きもので美人であった。あるとき隣村の岩加那という青年と
恋に落ちる。青年は唄と三味線が上手な青年であった。しかし、それに嫉妬心を抱いたカ
ンツメの主人が、かんつめに対して酷い仕打ちをする。素裸にされ、焼け火箸をあてられ
るなどされた。思いつめたかんつめは岩加那との思い出の場所で首をくくって自害するの
だった。 かんつめが自害したのは、佐念山の中の林とされている。林の中にあるこの碑の付近かど
うかは定かじゃない。 この物語はやがて歌になり、『かんつめ節』として奄美全土で歌われるようになった。
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